watashitachi no kurai mirai

私たちの暗い未来

ai

 3ヶ月に一遍程度の頻度で電話をする子がいて、作家の話や近況等を話したりするのだけれど、ともすれば変わりたいというような願いばかりを語ったりする子で、愛や神様やフラットな自分というものに言いようのない信仰を持っており、何もかもを引き受けながら茫洋とした心持ちで生きている僕の様子に憧れるというな不思議なことを言ったり(決してそんなことはないのだけれど)、花や陶器等に囲まれて生きたいと呟いたり、つまりはそんな子なのだけれど、僕は電話の度「引きこもらずに人と触れ合った方が良いですよ」なんて偉そうな忠告をして「そうですね」という返答に、けれど言うとおりにはしないのだろうというような妙な確信と諦めを持っていながらどこかほっともしており、その子がよく言う愛とはつまり、その人がその人の形のまま生きることが他者をも生かすことなのではないかと考えている。

 足りないことなんて何もないのに。