watashitachi no kurai mirai

私たちの暗い未来

mudai

 普通の会社より一月遅いボーナスの査定結果通知があって、思うところもないのでへぇはぁと彼等の話を聞いている中で、「これは内事だけれど……」と上司同士で目配せをして前置くと、会社で厄介者扱いされていた人がとうとう辞めるのだと続けたのだった。限りなく打首に近い辞職という形となった彼の年齢がいくつであるのか、高校生の息子がいるらしいという話は聞いたことがあったが、そんな年齢で放り出されるのか、もっと会社としてできることがあったのではないか、揶揄や説教等人となりを無視した教育ばかりしていたと聞いていたが必要だったのは歩幅を合わせることだったのではないか、できない理由を一緒に考える必要があったのではないか、管理職の能力不足が露呈したけどどうしてそこには何も触れないの、と湯水のごとき言葉の羅列が喉に詰まって結局何も飛び出すことはなかった。続く「でも次決まっているみたいなんだよね」という彼等の言葉で何か救われたようでもあり、けれど厄介者が厄介者である所以を知っている僕としては、彼の引取先となった新しい会社にあぁと言いようのない罪悪感のようなものを抱いてしまうんだった。